無料ブログはココログ

« シーズン到来の大瀬崎(二本目) | トップページ | ネタ無し(九州に拘る) »

2015年9月13日 (日)

宗谷

みなさん、こんにちは!

私、先週末から少し仕事が忙しくなり、本当ならば今日13日は仕事の予定でした。
しかし、昨夕、急に仕事がキャンセルになり、さて、明日は何をしよう・・・。
そんなことを考えながら、昨夜、DVDで高倉健さんの「南極物語」を視ていて・・・よし、「宗谷」へ行こう!と、思い立ち、早起きして行ってきましたよ。
おおよそ20年ぶりかな。
東京お台場の「船の科学館」に展示してある南極観測船「宗谷」です。
1
日本初の南極観測船であり、唯一の南極観測船です。
唯一?そう、唯一なんですよ。
この後の「ふじ」「しらせ」は、海上自衛隊所属の南極観測『艦』ですからね。
2
この「宗谷」は、海上保安庁所属の『船』、巡視船なんです。
船首には船名の下に「PL107」と、記号と番号が書かれていますが、
22
「P」が、Patrol のP、「L」が、Large のL、つまり大型巡視船107号を表しています。
この「宗谷」は、戦前、ソ連の発注で砕氷能力のある商船として建造されましたが、ソ連に引き渡されることはなく、日本の商船として就役し、昭和15年に海軍の特務艦となりました。
ですから、外板の主要部分は全て戦前の造りで、リベット(鋲ですよ)打ちで接合されています。
31
現代では殆どが溶接による接合ですから、これだけでも見る価値がある(マニアだけかな)というもの。
戦時中は輸送任務に活躍し、その時に米潜水艦が放った魚雷を喰いましたが、それが不発弾で沈まなかったという幸運艦だったそうな。
だから、南極観測船に選ばれたとか。
見ているだけで、歴史を感じますね。
32

船橋の造りも何とも古くさく、操舵室の両側には大きくウイングが張り出しています。
4
これが船橋下の士官食堂。
5
綺麗ですね。
船尾に科員食堂もあるはずですが、これは公開されていなかったな。
これが船内通路。
6
狭いですねぇ。
途中に、「タロ」「ジロ」の精巧なヌイグルミが展示してありました。
7
たしか、本物の剥製は上野の国立科学博物館にありましたね。
これが操舵室です。
8
舵輪は当時の物ですが、レーダーは、南極観測を終えてから長く巡視船として使われていたので、最終状態の新しい物が付いていました。

左舷ウイングから見た船首方向です。
91
同じ位置から、後方を見たものです。
92
すぐ後ろには、救命艇が懸架されています。
そうして、これが煙突。
10
ファンネルマークは、海上保安庁の所属であることを表す「紺地にコンパス」です。

最後は、飛行甲板。
111
最近の船にはめったに無い、門型マストが目立ちます。
(広そうに見えますが、魚眼レンズで撮ってますからね。)
右舷後部から見たところ。
112
南極観測の為に増設された大きなバルジタンク(側面水面付近の大きなデッパリ)が特徴的ですね。

総トン数2,497トン、全長83.3メートルにすぎない、こんな小さな船で、よくも南極まで出かけたものだ・・・当時の日本人の偉大さに頭が下がる思いです。

現在、船の科学館は改装中で、「宗谷」は無料開放されていました。
「宗谷」の横の別館展示場には、当時の南極観測で使用されたカメラが展示してあります。
13
Canon だったんですねぇ・・・。
私は、PENTAXだと聞いていたのですが・・・。
私がメインで使用しているカメラもCanon、ちょっと嬉しいな。
では!

以下は専門的な話なので、興味のない方はスルーしてください。

【「船」と「艦」の違いについて】
日本国において、
「船」とは、一般商船、漁船、プレジャーボート、官公庁の船(巡視船、漁業取締船、消防船等)を言い、運航する上で、様々な国内法の適用を受けます。
つまり、「船」を動かすためには、先ず船の検査が必要となり、合格すれば国籍証書や船舶検査証書等が交付されます。
次に、その「船」の大きさや用途、航行区域(どの辺りを走るのか)によって、乗り組ませなければならない船舶職員(船長や機関長、航海士等)の数や、その職員の免許(海技士免許)の種類が細かく定められています。
これらを全てクリアしないと、「船」を動かすことは出来ません。
違反すると、厳しい罰則があります。

これに対して、「艦」とは、海上自衛隊に所属するフネのことを言います。
「艦」は、運航する上で、殆どの法律の適用を受けません。
つまり、極端な話ですが、「艦」は、船舶検査は要らない(勿論、自衛隊内で「船」に準じた厳しい基準は設けてますよ)し、海技士免許も要らない(勿論、自衛隊の内部規定で、海技士免許を取った方が士官として乗艦しています)のです。

「船」と「艦」は、似て非なるものなのです。
私が拘る訳がお解りかな?

« シーズン到来の大瀬崎(二本目) | トップページ | ネタ無し(九州に拘る) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

FUJIKAZEさま
こんにちは
南極観測船宗谷の詳細レポ とても勉強になりました。
リベットで防水対策材が別に何か使われていたのでしょうか?
建造がとても古いんですね。全くその歴史は知りませんでしたから・・
確かに思いのほか小さくて吃驚しました。
船と艦の定義も初めて知りました。何事も勉強ですね。

宗谷が旧海軍で活躍 そして保安庁所属と云う事は知ってましたが ソ連にどうのこうのは初耳でした。いや勉強になりました。ちなみに過去2度ほど見学に行ってます。

なるほど
興味深く拝見させていただきました

船は
フェリーにたま~に乗るくらいの私ですが
・・・なぜかリベットに萌えました
昔 
古いバスのリベットにも萌えたこともあったので
もしかすると( ̄ー+ ̄)

こんばんは
「宗谷」見に行ったことがあります。船内も見ましたよ
この船が南極の氷の海を渡っていったのだと思うと、
感慨深いものがありました
船と艦の違い・・・そうだったのですか。
初めて知りました。
宗谷の歴史も全く知らなかったのです。
有難うございました

輝ジィ~ジさん、こんばんは!
リベット接合技術は、当時の日本は世界一だったと聞いています。
戦艦大和だって、全てリベット接合ですからね。
私も詳しい仕組みは知りませんが、あれでちゃんと防水出来たのでしょう。
「宗谷」は日本初の南極観測船ですが、言い方を変えれば、唯一現存する帝国海軍の艦船なんですよ。
歴史の詰まったフネなんです。

ハッピーのパパさん、こんばんは!
「宗谷」はソ連の発注で同型3隻が作られたそうです。
しかし、ヨーロッパの雲行きが怪しくなったので、完工してもソ連に引き渡すことはしなかったのだそうです。
けっこう契約不履行でモメたようですよ。
でも、結果として、こうして残っているのですから、それで良かったのかな。

wani さん、こんばんは!
リベット打ちのフネは、格好良いですよねぇ。
いかにも無骨で、船らしいです。
現代、鉄船で(アルミ船はけっこうリベット接合ですよ)こんな船は殆ど走っていませんが、横浜港のロイヤルウイング号の船体の一部がそうだったように思います。
あれも50年以上経った船ですからね。
あとは、横須賀の「三笠」かな。
甲板よりも上の構造物は戦後に復元した物ですが、船体は本物です。
リベットですよ。

ナルコユリさん、こんばんは!
「宗谷」は、私も何度か訪れています。
何度見ても、感慨深いものがありますね。
ただ、今回、20数年ぶりに行ってみると、船体のあちらこちらがかなり痛んでいて、このままで大丈夫なのかなって思ってしまいました。
笹川財団も金が無いんでしょうね。
ボートレースもイマイチ人気無いようだし・・・。
「宗谷」は財団がしっかり管理するからって引き取ったのだから、左前になっても、これだけはお金を掛けて残して欲しいものです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 宗谷:

« シーズン到来の大瀬崎(二本目) | トップページ | ネタ無し(九州に拘る) »